禿げ散らかすほど恋をして
- 雪山ゆき
- 2019年1月5日
- 読了時間: 3分
透(とおる)
育(そだち)
透「なあ、育、相談があるんだ。」
育「相談?何?」
透「いや、やっぱりない。」
育「どっち!?」
透「あのな、実は俺・・・気になっている奴がいるんだ。」
育「ほうほう!いいね!」
透「これはひょっとして恋・・・ってレベルだ。」
育「いやあ青春だねえ。」
透「そいつといると、動悸的なあれがやばい。相当やばくてやばい。」
育「語彙力が消えてるねー。ほうほう。それで?」
透「どうすればいい?」
育「どうすれば、かあ・・・。とりあえず、それが本当に恋なのか、だね。」
透「恋じゃないと?」
育「ほらほら、その場のノリ?勘違い?とかあるから。」
透「なるほど。」
育「とりあえず、本当に恋か、落ち着いて考えよう。」
透「うむ。」
育「深呼吸して、落ち着いてください。そして質問に答えてください。」
透「ひっひっふー。ひっひっふー。」
育「ラマーズ法は、やめてくださいねー。では、いいですか?」
透「いいぞ。」
育「その人のこと、ずっと考えている?」
透「ずっとどころじゃない!!眠れないくらいだ!!」
育「眠れないの!?」
透「おかげでくまができている。ヴィジュアル系も真っ青だ。」
育「それ、ヴィジュアル系の人に聞かれたら怒られるから。
しかしなあ、なるほどなあ、恋ですねーそれは。」
透「そうかあ・・・。しかし、この恋にはちょっとしたあれがあれでな。」
育「あれがあれ・・・ほう。詳しく。」
透「相手は男なんだ。」
育「お、おう。」
透「引いたか。」
育「いや、大丈夫、ちょっと動揺しただけ。」
透「どうするべきだろうか・・・。」
育「いや、いいんじゃない?最近けっこうあるみたいだし?うん、反対はしない。」
透「本当か!?」
育「ちなみに、相手は?」
透「聞いてしまうかーそこ。」
育「聞いてしまうんだよなあ。」
透「お前だ。」
育「・・・・・・。」
透「・・・・・・。」
育「・・・?」
透「どうした?」
育「私は!!!女なんだけど!?何言ってるんですかねえ!?」
透「なんだとおおおおお!?」
育「知らんかったんかーい!どう見ても女でしょ!?髪の毛長いよ!?」
透「ロン毛の男もいるからな!」
育「スカートはいてるよ!?制服スカートだよ!?」
透「いや、ズボンだろう。」
育「は?大丈夫?」
透「いつも体操ズボンだろう。」
育「あー・・・。スカートの下にはいてますねえ・・・って、スカートの中見てるんじゃねえ!!」
透「それに!胸が!!」
育「スレンダーと言って!!」
透「なるほどな・・・。理解した。」
育「幼馴染に性別勘違いされてたとか悲しすぎる・・・。」
透「俺は女と風呂に入っていたのか・・・。」
育「幼稚園のときの話されましても。」
透「なるほど、では、俺は、女に恋をしていると。」
育「そうだね・・・。なんかもうリアクションとるの疲れたけど、そうだね・・・。」
透「では、育、好きだ。男か女かよくわからんような、お前が、好きだ。」
育「そのくだりいる!?ふざけてるの!?ばか!はげ!!」
透「ばかではあるかもしれないが、はげてはいない!はげるならお前と一緒に・・・
いや、お前の隣りでと、決めているんだ!」
育「何それ!?」
透「縁側でお茶をすすりながら青空を見上げて禿げ散らかすのが夢だ!」
育「老後を想定していらっしゃる!?」
透「育、だから俺と、」
育「待った待った待った!!!何それ!?もっかい言うけど、何それ!?
展開についていけないんだけど!?」
透「お前が好きで好きで、禿げ散らかしそうだ!」
育「勝手に禿げ散らかせ!!もう知らない!」
透「うん?」
育「何!?」
透「もう知らない、と言ったか?」
育「そうだけど!?」
透「なるほど、これが今ちまたで流行りのツンデレ・・・。育はツンデレなのか?」
育「知らない!!もう、やだあ!!」
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