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ブログ: Blog2

勇者と賢者と熊太郎

  • 雪山ゆき
  • 2019年1月5日
  • 読了時間: 4分

勇者 男の子

賢者 格好良い女性

熊太郎 オスのくま









村人A「なあ、あのデカブツ、まだこの村に住みついてんのか?」


村人B「もう半年もいるよね・・・。怖いわ・・・。」










熊太郎「ぼくが・・・僕が何をしたって言うんだ・・・。一体、僕が・・・!」










勇者「はあ・・・今日も迷子・・・野宿・・・。魔王の城にたどり着けず、

   

   仲間をひとりも増やすことができず・・・。長老になんて報告すれば・・・。

  

   やっぱり僕みたいなヘッポコは、勇者に向いてないんだよ・・・。


   しきたりとかなんとか、そんなの全然理解できない。あーあ・・・。」


熊太郎「あのー。」


勇者「うわああああああああああああああ!?」


熊太郎「あ、あのー。」


勇者「助けて下さい助けて下さい!!命だけはああああああああああ!」


熊太郎「あ、あ、あのー・・・。」


勇者「僕は勇者になんてなりたくなかったんだ!!長老がなれって言うから!!


   勇者になったら病気の母さんの治療費払うって言うから!!


   だから命だけは!!どうかあああ!!!!!!!」


熊太郎「あの、あの、あのー。」


勇者「ていうか、でか!!でかい!!食われるよおおおおおおおおおおおお!!」


熊太郎「うっ。で、でっかくないもん!!じゃなくて!!あの、お困りですか?」


勇者「でっかいじゃんか!!って、あ、困ってます、とても。」


熊太郎「あ、そ、そうですよねー・・・。あははー・・・。」


勇者「あ、あははー・・・。」


熊太郎「・・・あ、あの、僕は、熊太郎と申します。熊です。ど、どうも。」


勇者「僕は、勇者です。新米勇者です。ど、どうも。」


熊太郎「あ、僕の家、そこの村のはしっこにありまして、お茶でも、どうでしょうか。」


勇者「あ、ぜひぜひ・・・。って!!熊!?喋ってる!?うひいいいいいい。」


熊太郎「熊だってしゃべるんだい!!って!!そうじゃなくて!!」


勇者「うひいいいいいいいい!ぎやああああああああああああ!」


熊太郎「あの、僕、怖い、ですか・・・?」


勇者「え?」


熊太郎「僕、生まれつき他の熊より、ちょっと、ほんのちょっと大きくて、それで、


    いつだって仲間外れなんです・・・。」


勇者「あ、そ、そうなんだ、大変、です、ね。」


熊太郎「・・・・・・勇者さんは、何にお困りなんですか?」


勇者「えーと、僕は、その、勇者なので魔王を倒さないといけないんですが、


   仲間が・・・いなくて・・・。」


熊太郎「仲間・・・ですか・・・。」


勇者「なんか、強そうな人、知りませんかね・・・。」


熊太郎「あ、それなら!僕の家から見える、でっかいお城に住んでいる、賢者様とかどうでしょう?」


勇者「賢者!?それは、なんか、頭良さそうですね!いいですね!」


熊太郎「良かったら、僕に案内させてください、勇者さん!」


勇者「え、いいの?え、いや、いいんですか?」


熊太郎「最近、人とまともに話してなかったので、こうして話せたのが、嬉しくて。


    だから、お礼です。」


勇者「熊太郎さああああああああああああん!!」








熊太郎「こちらが、賢者様のお宅ですね。」


勇者「な、なんか・・・。」


熊太郎「はい。」


勇者「魔王の城っぽい・・・。」


熊太郎「そう、ですねー・・・。」


勇者「え、賢者って、え、こんなところに住んでいるんですか?」


熊太郎「そうですね。村人の皆さんが言ってました。」


勇者「うわあ・・・なんか、賢者・・・おっかない人なんだろうな・・・。


   このお城、なんか、暗いし、どよーんとしてるし、悪趣味だし・・・。」


熊太郎「そ、そんなことない、です、よ!がんばりましょう!!」


勇者「そうですね!えいえいおー!」


熊太郎「えいえいおー!!」


勇者「えいえいおー!」


熊太郎「えいえいおー!!!!!!!!!!!!!」


賢者「うっるせえええええええええええええええええええええええええ」


勇者「うひいいいいいいいいいいい」


賢者「人んちの前で騒いでるんじゃねえ!!!!なんだてめえら!?


   鼻たれのしみったれたガキと・・・熊肉?」


熊太郎「肉!?」


賢者「何の用だ貴様ら!!」


勇者「え、というか、え、賢者、ですか?」


賢者「ああん?何だてめえ?」


勇者「ふええ!」


熊太郎「すみません、あの、賢者様を訪ねてここまで来たのですが・・・。


    賢者様はご在宅でしょうか・・・?」


賢者「俺が賢者だ。」


勇者「え!?賢者って、え、お、女の人!?」


賢者「ああん?」


勇者「うひい!」


熊太郎「ええと、こちらは勇者さんで、僕は、熊の熊太郎です。


    勇者さんが、魔王を倒す仲間を探しているときいて、賢者様をと・・・。」


賢者「いくらだ」


熊太郎「はい?」


賢者「いくら出す?」


勇者「お金ー!?」


賢者「ああん?」


勇者「何この賢者・・・。」


熊太郎「お金、ですか・・・。勇者さん、お金あります?」


勇者「ええと・・・。これくらいはどうですか・・・?」


賢者「ちっ。」


勇者「あ、えっと、更に出血大サービスで、このくらいとか・・・?」


賢者「しょうがねえなあ、おい、熊肉!!」


熊太郎「熊太郎です・・・。」


賢者「熊肉、お前、飯は作れるか。」


熊太郎「は、はい。」


賢者「得意料理は?」


熊太郎「ビーフストロガノフです・・・。」


賢者「悪くない、それで手を打ってやろう。ついて来い。」


勇者「え?」


賢者「いくぞ。」


勇者「ど、どこへ?」


賢者「魔王の、城とやらだ。楽しい暇つぶしになりそうだな。」


勇者「熊太郎さん・・・。」


熊太郎「はい。」


勇者「これ、大丈夫なんでしょうか・・・。」


熊太郎「さ、さあ・・・。」






熊太郎「こうして、僕は、ひとりぼっちだった僕は、なんやかんやで勇者さんと賢者様と


    旅に出ることになった。この後、色っぽい魔法使いのお姉さんや、


    筋肉が凄い格闘家のお兄さんが仲間になったりするんだけど、それはまた、別の話。」










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